三島由紀夫名言集

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三島由紀夫「果たし得てゐない約束――私の中の二十五年」(1970(昭和45)年07月07日・サンケイ新聞夕刊)
 

2021/08/29 (日) 更新

三島由紀夫名言集  

No分類名言作品書籍
1恋愛恋人同士といふものは仕馴れた役者のように、予め手順を考へた舞台装置の上で愛し合うものである日曜日決定版 三島由紀夫全集 18巻
2恋愛恋愛とは、勿論、仏蘭西(フランス)の詩人が言つたやうに一つの拷問である。どちらがより多く相手を苦しめることができるか試してみませう、とメリメエがその女友達へ出した手紙のなかで書いてゐる。純白の夜純白の夜
3恋愛裏切りは、かならずしも悪人と善人のあひだでおこるとはかぎらない。あなたは現在の恋人と結婚しますか?決定版 三島由紀夫全集 33巻
4恋愛僕はいはゆる美人を見ると、美しいなんて思つたことはありません。ただ欲望を感じるだけです。
不美人のはうが美といふ観念からすれば、純粋に美しいのかもしれません。何故つて、醜い女なら、欲望なしに見ることができますからね。
女神女神
5恋愛美しい女と二人きりで歩いてゐる男は頼もしげにみえるのだが、女二人にはさまれて歩いてゐる男は道化じみる。春子真夏の死―自選短編集
6恋愛年をとらせるのは肉体じやなくつて、もしかしたら心かもしれないの。心のわづらひと衰へが、内側から体に反映して、みにくい皺やしみを作つてゆくのかもしれないの。黒蜥蜴若人よ蘇れ・黒蜥蜴 他一篇
7恋愛男性は、安楽を100パーセント好きになれない動物だ。また、なつてはいけないのが男である。あなたは現在の恋人と結婚しますか?決定版 三島由紀夫全集 33巻
8恋愛男といふものは、もし相手の女が、彼の肉体だけを求めてゐたのだとわかると、一等自尊心を鼓舞されて、大得意になるといふ妙なケダモノであります。痴漢を歓迎すべし不道徳教育講座
9恋愛人間をいちばん残酷にするのは、愛されてゐるといふ意識だよ。禁色禁色
10恋愛神聖なものほど猥褻だ。だから恋愛より結婚のはうがずつと猥褻だ。鏡子の家鏡子の家
11恋愛女性はそもそも、いろんな点でお月さまに似てをり、お月さまの影響を受けてゐるが、男に比して、すぐ肥つたりすぐやせたりしやすいところもお月さまそつくりである。反貞女大学反貞女大学
12恋愛時間を支配しているのは女であって、男じゃない。妊娠十ヵ月の時間、これは女の持物だからね。だから女は時間に遅れる権利があるんだよ。寺山修司との対談「エロスは抵抗の拠点になり得るか」決定版 三島由紀夫全集 40巻
13恋愛私を美しいと云つた男はみんな死んぢまつた。だから、今ぢや私はかう考へる。私を美しいと云ふ男は、みんなきつと死ぬんだと。卒塔婆小町近代能楽集
14恋愛潔癖さといふものは、欲望の命ずる一種のわがままだ。仮面の告白仮面の告白
15恋愛軽蔑とは、女の男に対する永遠の批評である。反貞女大学反貞女大学
16恋愛愛は断じて理解ではない。批評家に小説がわかるか文学的人生論
17恋愛愛するということにかけては、女性こそ専門家で、男性は永遠の素人である。愛するといふこと決定版 三島由紀夫全集 36巻
18恋愛どんな女にも、苦悩に対する共感の趣味があるものだが、それは苦悩といふものが本来男性的な能力だからである。純白の夜純白の夜
19恋愛いくら乱れた世の中でも、一本筋の通つたまじめな努力家の青年はゐるもんだよ。
小心で優柔不断らしい女が、男を不幸にしてゐる
お嬢さんお嬢さん
20恋愛女を抱くとき、われわれは大抵、顔か乳房か局部か太腿かをバラバラに抱いてゐるのだ。それを総括する「肉体」といふ観念の下に。鍵のかかる部屋鍵のかかる部屋
21恋愛虚栄心、自尊心、独占欲、男性たることの対社会的プライド、男性としての能力に関する自負、……かういふものはみんな社会的性質を帯びてゐて、これがみんな根こそぎにされた悩みが、男の嫉妬を形づくります。
男の嫉妬の本当のギリギリのところは、体面を傷つけられた怒りだと断言してもよろしい。
いはゆる『よろめき』について不道徳教育講座
22恋愛愛から嫉妬が生まれるやうに、嫉妬から愛が生まれることもある。反貞女大学反貞女大学
23恋愛若い女といふものは誰かに見られてゐると知つてから窮屈になるのではない。
ふいに体が固くなるので、誰かに見詰められてゐることがわかるのだが。
白鳥女神
24恋愛あまりに強度の愛が、実在の恋人を超えてしまふといふことはありうる。班女について決定版 三島由紀夫全集 29巻
25恋愛初恋に勝つて人生に失敗するのはよくある例で、初恋は破れる方がいいといふ説もある。冷血熱血(小坂・オルチス戦観戦記)三島由紀夫スポーツ論集
26恋愛愛は絶望からしか生まれない。
精神対自然、かういふ了解不可能なものへの精神の運動が愛なのだ。
禁色禁色
27恋愛女の部屋は一度ノックすべきである。しかし二度ノックすべきぢやない。
さうするくらゐなら、むしろノックせずに、いきなりドアをあけたはうが上策なのである。
女といふものは、いたはられるのは大好きなくせに、顔色を窺はれるのはきらふものだ。
いつでも、的確に、しかもムンズとばかりにいたはつてほしいのである。
複雑な彼複雑な彼
28恋愛愛はみんな怖しいんですよ。愛には法則がありませんから。班女近代能楽集
29恋愛恋と犬とはどつちが早く駆けるでせう。さてどつちが早く汚れるでせう。綾の鼓近代能楽集
30恋愛処女だけに似つかはしい種類の淫蕩さといふものがある。
それは成熟した女の淫蕩とはことかはり、微風のやうに人を酔はせる。
仮面の告白仮面の告白
31恋愛恋愛では手放しの献身が手放しの己惚れと結びついてゐる場合が決して少なくない。
しかし計量できない天文学的数字の過剰な感情の中にとぢこめられてゐる女性といふものは、はたで想像するほど男をうるさがらせてはゐないのだ。
好きな女性決定版 三島由紀夫全集 28巻
32恋愛動物になるべきときにはちやんと動物になれない人間は不潔であります。第一の性第一の性
33恋愛恋といふものは、そつのない調和よりも、むしろ情緒のある不釣合のはうを好くものです。不実な洋傘決定版 三島由紀夫全集 17巻
34恋愛世間ではどんなに英雄的に見える男でも、家庭では甲羅ぼしをするカメのやうなものである。
“男性を偶像化すべからず”
職場での彼、デート中の彼から70%以上の魅力を差し引いたものが、家庭での彼の姿。
あなたは現在の恋人と結婚しますか?決定版 三島由紀夫全集 33巻
35恋愛別れてゐることが苦痛なら、逢つてゐることも苦痛でありうるし、逢つてゐることが歓びならば、別れてゐることも歓びであつてならぬといふ道理はない。春の雪豊饒の海 第一巻 春の雪
36恋愛もし永遠があるとすれば、それは今だけなのでございますわ。春の雪豊饒の海 第一巻 春の雪
37希望自分の死の分量を明確に見極めた人が、これからの世界で本当に勇気を持つた人間になるだらう。まづ個人が復活しなければならないのだ。死の分量決定版 三島由紀夫全集 28巻
38希望個人が組織を倒す、といふのは善である。『サムライ』について決定版 三島由紀夫全集 34巻
39希望どんな時代にならうと、権力のもつとも深い実質は若者の筋肉だ。わが友ヒットラーサド侯爵夫人・わが友ヒットラー
40希望青春の特権といえば、一言を以つてすれば無知の特権であろう。私の遍歴時代太陽と鉄・私の遍歴時代
41希望不安こそ、われわれが若さからぬすみうるこよない宝だ。暁の寺豊饒の海 第三巻 暁の寺
42希望文学では、(日本の芸能の多くがさうであるやうに)、肉体が老ひ朽ちてから、芸術の青春がはじまるといふ恵みがある。私の遍歴時代太陽と鉄・私の遍歴時代
43希望詩人とは、自分の青春に殉ずるものである。青春の形骸を一生引きずつてゆくものである。
詩人的な生き方とは、短命にあれ、長寿にあれ、結局、青春と共に滅びることである。
佐藤春夫氏についてのメモ決定版 三島由紀夫全集 29巻
44希望ある小説がそこに存在するおかげで、どれだけ多くの人々が告白を免かれてゐることであらうか。小説とは何か小説読本
45希望芸術作品の形成がそもそも死と闘ひ死に抵抗する営為なのである。日記決定版 三島由紀夫全集 31巻
46希望愛の奥処には、寸分たがはず相手に似たいといふ不可能な熱望が流れてゐはしないだらうか?仮面の告白仮面の告白
47希望「足が地につかない」ことこそ、男性の特権であり、すべての光栄のもとであります。第一の性第一の性
48希望文学は、どんなに夢にあふれ、又、読む人の心に夢を誘ひ出さうとも、第一歩は、必ず作者の夢が破れたところに出発してゐる。秋冬随筆決定版 三島由紀夫全集 33巻
49希望かつて向う岸にゐたと思はれた人々は、もはや私と同じ岸にゐるやうになつた。
すでに謎はなく、謎は死だけになつた。
太陽と鉄太陽と鉄・私の遍歴時代
50希望一つの生をあまりにも純粋に究極的に生きようとすると、人はおのづから、別の生の存在の予感に到達するのではなからうか。暁の寺豊饒の海 第三巻 暁の寺
51哲学理想的な「他人」はこの世にはないのだ。滑稽なことだが、屍体にならなければ、人は「親密な他人」になれない。牝犬決定版 三島由紀夫全集 18巻
52哲学無神論も、徹底すれば徹底するほど、唯一神信仰の裏返しにすぎぬ。
無気力も、徹底すれば徹底するほど、情熱の裏返しにすぎぬ。
川端康成氏再説決定版 三島由紀夫全集 31巻
53哲学男性は本質を愛し、女性は習慣を愛する青の時代青の時代
54哲学男の世界は思ひやりの世界である。
男の社会的な能力とは思ひやりの能力である。
葉隠入門葉隠入門
55哲学正しい狂気といふものがあるのだ。小説家の休暇小説家の休暇
56哲学人生とは何だ? 人生とは失語症だ。世界とは何だ? 世界とは失語症だ。歴史とは何だ?歴史とは失語症だ。芸術とは? 恋愛とは? 政治とは? 何でもかんでも失語症だ。獣の戯れ獣の戯れ
57哲学人生が生きるに値ひしないと考へることは容易いが、それだけにまた、生きるに値ひしないといふことを考へないでゐることは、多少とも鋭敏な感受性をもつた人には困難である。愛の渇き愛の渇き
58哲学私は、言論と日本刀というものは同じもので、何千万人相手にしても、俺一人だというのが言論だと思うのです。一人の人間を大勢で寄ってたかってぶち壊すのは、言論ではなくて、そういうものを暴力という。つまり一人の日本刀の言論だ。国家革新の原理文化防衛論
59哲学私があるとき死はない、死があるとき私はない。
だから人間は死を怖れることはないのだ。
永すぎた春永すぎた春
60哲学死は事実にすぎぬ。行為の死は、自殺と言ひ直すべきだらう。人は自分の意志によつて生れることはできぬが、意志によつて死ぬことはできる。これが古来のあらゆる自然哲学の根本命題だ。禁色禁色
61哲学死において、自殺といふ行為と、生の全的な表現との同時性が可能であることは疑ひを容れない。最高の瞬間の表現は死に俟たねばならない。
これには逆証明が可能だと思はれる。
禁色禁色
62哲学愛といふ言葉は、日本語ではなくて、多分キリスト教から来たものであらう。日本語としては「恋」で十分であり、日本人の情緒的表現の最高のものは「恋」であつて、「愛」ではない。愛国心終わり方の美学 戦後ニッポン論考集
63哲学この世には最高の瞬間といふものがある。この世における精神と自然との和解、精神と自然との交合の瞬間だ。禁色禁色
64哲学あらゆる文体は形容詞の部分から古くなると謂はれてゐる。
つまり形容詞は肉体なのである。青春なのである。
禁色禁色
65哲学音楽は生活必需品でなくても、人生の必需品、むしろその本質的なものとも思はれる。
「今そこにないものへの誘惑」にこそ、生の本質があるからである。
誘惑 ─音楽のとびら決定版 三島由紀夫全集 34巻
66哲学人間が或る限度以上に物事を究めようとするときに、つひにはその人間と対象とのあひだに一種の相互転換が起り、人間は異形に化するのかもしれない。三熊野詣殉教
67哲学自分の美しさを知つてゐても、鏡によらずしてはそれを見ることができないといふのは宿命的なことだ。
自分が美しいといふ認識は、たえず自分から逃げてゆくあいまいな不透明な認識であつた。
結局この世では他人の美がすべてなのだ。
女神女神
68哲学行為とは、宿命と自由意志との間に生れる鬼子であつて、人は本当のところ、自分の行為が、宿命のそそのかしによるものか、自由意志のあやまちによるものか、知ることなど決してできない。裸体と衣装裸体と衣装
69哲学相反するものはその極致において似通ひ、お互ひにもつとも遠く隔たつたものは、ますます遠ざかることによつて相近づく。太陽と鉄太陽と鉄・私の遍歴時代
70哲学たとへば情熱、たとへば理想、たとへば知性、……何でもかまはないが、人間によつて価値づけられたもののかういふ体系を、誰も抜け出すことができない。
逆を行けば裏返しになるだけのことだ。
川端康成氏再説決定版 三島由紀夫全集 31巻
71真理不安は奇体に人の顔つきを若々しくする。毒薬の社会的効用について殉教
72真理男が女より強いのは、腕力と知性だけで、腕力も知性もない男は、女にまさるところは一つもない。第一の性第一の性
73真理打算のない愛情とよく言ひますが、打算のないことを証明するものは、打算を証明するものと同様に、「お金」の他にはありません。打算があつてこそ「打算のない行為」もあるのですから、いちばん純粋な「打算のない行為」は打算の中にしかありえないわけです。宝石売買決定版 三島由紀夫全集 17巻
74真理戦争が道徳を失はせたといふのは嘘だ。道徳はいつどこにでもころがつてゐる。しかし運動をするものに運動神経が必要とされるやうに、道徳的な神経がなくては道徳はつかまらない。戦争が失はせたのは道徳的神経だ。慈善決定版 三島由紀夫全集 17巻
75真理青年の苦悩は、隠されるときもつとも美しい青年像決定版 三島由紀夫全集 34巻
76真理政治的スローガンとか、思想とか、さういふ痛くも痒くもないものには、人間は喜んで普遍性と共有性を認めます。毒にも薬にもならない古くさい建築や美術品は、やすやすと人類共有の文化的遺産になります。美しい星美しい星
77真理真の危険を犯すものは理性であり、その勇気も理性からだけ生れる暁の寺豊饒の海 第三巻 暁の寺
78真理女の人には、自分で直感的に見た鏡が、いちばん気に入る肖像画なんです。それ以上のものはありませんよ。女神女神
79真理事件に直面して、直面しながら、理解することは困難である。理解は概ね後から来て、そのときの感動を解析し、さらに演繹して、自分にむかつて説明しようとする。真夏の死真夏の死―自選短編集
80真理今の日本の大威張りの根拠は、みんな西洋発明品のおかげである。 これはそもそも、大東亜戦争の航空機についてさえ言えることで、あの戦争が日本刀だけで戦ったのなら威張れるけれども、みんな西洋の発明品で、西洋相手に戦ったのである。 ただ一つ、真の日本的武器は、航空機を日本刀のように使って斬死した特攻隊だけである。お茶漬ナショナリズム若きサムライのために
81真理今の時代はますます複雑になって、新聞を読んでも、テレビを見ても、真相はつかめない。そういうときに何があるかといえば、自分で見にいくほかないんだよ。鶴田浩二との対談「刺客と組長 男の盟約」決定版 三島由紀夫全集 40巻
82真理好奇心には道徳がないのである。もしかするとそれは人間のもちうるもつとも不徳な欲望かもしれない。仮面の告白仮面の告白
83真理五十歳の美女は二十歳の美女には絶対にかなはない。
美女と醜女とのひどい階級差は、美男と醜男との階級差とは比べものにならない。
をはりの美学「美貌のをはり」行動学入門
84真理経済学の学説なんぞといふものは、どつちみち如意棒のやうなもので、エイッと声をかけて、耳へ入るだけの小ささに変へてしまへばやすやすと握りつぶせるのである。そもそも唯物論は、「金で買へないものは何もない、どんな形の幸福も金で買へる」といふ資本主義的偏見の私生児なのである。感動すまいとする分析家は、感動以上の誤りを犯す場合がままある。青の時代青の時代
85真理偽悪者たることは易しく、反抗者たり否定者たることはむしろたやすいが、あらゆる外面的内面的要求に飜弄されず、自身のもつとも蔑視するものに万全を尽くすことは、人間として無意味なことではない。「最高の偽善者」とはさういふことであり、物事が決して簡単につまらなくなつたりしてしまはない人のことである。人間は自由を与へられれば与へられるほど幸福になるとは限らない。最高の偽善者として――皇太子殿下への手紙決定版 三島由紀夫全集 17巻
86真理感傷といふものが女性的な特質のやうに考へられてゐるのは明らかに誤解である。
感傷的といふことは男性的といふことなのだ。
青の時代青の時代
87真理寡黙な人間は、寡黙な秘密を持つものである。日曜日決定版 三島由紀夫全集 18巻
88真理ヒットラーは政治的天才であつたが、英雄ではなかつた。英雄といふものに必要な、爽やかさ、晴れやかさが、彼には徹底的に欠けてゐた。ヒットラーは、二十世紀そのもののやうに暗い。『わが友ヒットラー』覚書サド侯爵夫人・わが友ヒットラー
89真理どんなに平和な装ひをしてゐても「世界政策」といふことばには、ヤクザの隠語のやうな、独特の血なまぐささがある。終末感からの出発三島由紀夫』(ちくま日本文学10)
90真理この世で一等強力なのは愛さない人間だね。美徳のよろめき美徳のよろめき
91真理人間はあやまちを犯してはじめて真理を知るのである。青の時代青の時代
92真理人間をいちばん残酷にするのは、愛されてゐるといふ意識だよ。愛されない人間の残酷さなんて知れたもんだ。たとえば、ヒューマニストというやつはきまつて醜男だ。禁色禁色
93真理老夫妻の間の友情のやうなものは、友情のもつとも美しい芸術品である。女の友情について決定版 三島由紀夫全集 27巻
94真理三千人と恋愛をした人が、一人と恋愛をした人に比べて、より多くについて知つてゐるとはいへないのが、人生の面白味ですが、同時に、小説家のはうが読者より人生をよく知つてゐて、人に道標を与へることができる、などといふのも完全な迷信です。小説家を尊敬するなかれ不道徳教育講座
95真理無秩序が文学に愛されるのは、文学そのものが秩序の化身だからだ。恋する男決定版 三島由紀夫全集 26巻
96真理人生には濃い薄い、多い少ない、ということはありません。
誰にも一ぺんコッキリの人生しかないのです。
小説家を尊敬するなかれ不道徳教育講座
97真理貞女とは、多くのばあひ、世間の評判であり、その世間をカサに着た女の鎧であります。反貞女大学反貞女大学
98真理芸術家といふのは自然の変種です。反貞女大学反貞女大学
99真理ある女は心で、ある女は肉体で、ある女は脂肪で夫を裏切るのである。反貞女大学反貞女大学
100真理真の芸術家は招かれざる客の嘆きを繰り返すべきではあるまい。彼はむしろ自ら客を招くべきであらう。招かれざる客夜告げ鳥
101真理われわれが美しいと思ふものには、みんな危険な性質がある。
温和な、やさしい、典雅な美しさに満足してゐられればそれに越したことはないのだが、それで満足してゐるやうな人は、どこか落伍者的素質をもつてゐるといつていい。
美しきもの決定版 三島由紀夫全集 29巻
102真理私はかつて、真のでくのばうを演じ了せた意識家を見たことがない。小説家の休暇小説家の休暇
103真理必要から生れたものには、必要の苦さが伴ふ。この想像力には甘美なところがみじんもなかつた。暁の寺豊饒の海 第三巻 暁の寺
104真理美人の定義は沢山着れば着るほどますます裸かにみえる女のことである。家庭裁判決定版 三島由紀夫全集 18巻
105真理大ていわれわれが醜いと考へるものは、われわれ自身がそれを醜いと考へたい必要から生れたものである。手長姫手長姫 英霊の声―1938-1966―
106真理変はり者と理想家とは、一つの貨幣の両面であることが多い。
どちらも、説明のつかないものに対して、第三者からはどう見ても無意味なものに対して、頑固に忠実にありつづける。
第一の性第一の性
107真理相容れないものが一つになり、反対のものがお互ひを照らす。それがつまり美といふものだ。
陽気な女の花見より、悲しんでゐる女の花見のはうが美しい。
熊野近代能楽集
108真理どんな世の中にならうとも、女の美しさは操の高さの他にはないのだ。
男の値打も、醜く低い心の人たちに屈しない高い潔らかな精神を保つか否かにあるのだ。
さういふ磨き上げられた高い心が、結局永い目で見れば、世のため人のために何ものよりも役立つのだ。
人間喜劇決定版 三島由紀夫全集 17巻
109真理羞恥心のない知性は、羞恥心のない肉体よりも一そう醜い。
ロダンの彫刻「考へる人」では、肉体の力と、精神の謙抑が、見事に一致してゐる。
ボディ・ビル哲学三島由紀夫スポーツ論集
110真理漫画は現代社会のもつともデスペレイトな部分、もつとも暗黒な部分につながつて、そこからダイナマイトを仕入れて来なければならないのだ。
あらゆる倒錯は漫画的であり、あらゆる漫画は幾分か倒錯的である。
わが漫画決定版 三島由紀夫全集 29巻
111真理歴史はいつも崩壊する。又次の(あだ)な結晶を準備するために。
歴史の形成と崩壊とは同じ意味をしか持たないかのやうだ。
春の雪豊饒の海 第一巻 春の雪
112真理優雅といふものは禁を犯すものだ。それも至高の禁を。春の雪豊饒の海 第一巻 春の雪
113真理恋も忠も源は同じであつた。奔馬豊饒の海 第二巻 奔馬
114真理悪は時として、静かな植物的な姿をしてゐるものだ。結晶した悪は、白い錠剤のやうに美しい。天人五衰豊饒の海 第四巻 天人五衰
115真理人間の美しさ、肉体的にも精神的にも、およそ美に属するものは、無知と迷蒙からしか生れないね。知つてゐてなほ美しいなどといふことは許されない。天人五衰豊饒の海 第四巻 天人五衰
116真理人間は自分より永生きする家畜は愛さないものだ。天人五衰豊饒の海 第四巻 天人五衰
117処世男の虚栄心は、虚栄心がないやうに見せかけることである。虚栄について三島由紀夫語録
118処世精神分析を待つまでもなく、人間のつく嘘のうちで、「一度も嘘をついたことがない」といふのは、おそらく最大の嘘である。音楽音楽
119処世世間が若い者に求める役割は、欺され易い誠実な聴き手といふことで、それ以上の何ものでもない。天人五衰豊饒の海 第四巻 天人五衰
120処世世界が必ず滅びるといふ確信がなかつたら、どうやつて生きてゆくことができるだらう。鏡子の家鏡子の家
121処世崇高なものが現代では無力で、滑稽なものにだけ野蛮な力がある。禁色禁色
122処世女といふものは、自分を莫迦だと知る瞬間に、それがわかるくらい自分は利巧な女だといふ循環論法に陥るのですね。愛の渇き愛の渇き
123処世自殺しようとする人間は往々死を不真面目に考へてゐるやうにみられる。否、彼は死を自分の理解しうる幅で割切つてしまふことに熟練するのだ。かかる浅墓さは不真面目とは紙一重の差であらう。しかし紙一重であれ、混同してはならない差別だ。盗賊盗賊
124処世幸福つて、何も感じないことなのよ。幸福つて、もつと鈍感なものよ。幸福な人は、自分以外のことなんか夢にも考へないで生きてゆくんですよ。夜の向日葵鹿鳴館
125処世空虚な目標であれ、目標をめざして努力する過程にしか人間の幸福が存在しない。小説家の息子三島由紀夫語録
126処世何のために生きてゐるかわからないから生きてゐられるんだわ。盗賊盗賊
127処世ユーモアと冷静さと、男性的勇気とは、いつも車の両輪のやうに相伴ふもので、ユーモアとは理知のもつともなごやかな形式なのであります。文章読本文章読本
128処世やたらと人に弱味をさらけ出す人間のことを、私は躊躇なく「無礼者」と呼びます。それは社会的無礼であつて、われわれは自分の弱さをいやがる気持から人の長所をみとめるのに、人も同じやうに弱いといふことを証明してくれるのは、無礼千万なのであります。告白するなかれ不道徳教育講座
129処世なぜ大人は酒を飲むのか。大人になると悲しいことに、酒を呑まなくては酔へないからである。
子供なら、何も呑まなくても、忽ち遊びに酔つてしまふことができる。
社会料理三島亭決定版 三島由紀夫全集 31巻
130処世そんなに、「どうせ私なんぞ」式外交ばかりやらないで、たまにはゴテてみたらどうだらう。さうすることによつて、自分の何ほどかの力が確認されるといふものであります。何かにつけてゴテるべし不道徳教育講座
131処世あまりに永い苦悩は人を愚かにする。
苦悩によつて愚かにされた人は、もう歓喜を疑ふことができない。
愛の渇き愛の渇き
132処世「強み」とは何か。知恵に流されぬことである。分別に溺れないことである。葉隠入門葉隠入門
133処世精神を凌駕することのできるのは習慣という怪物だけなのだ。美徳のよろめき美徳のよろめき
134処世この世には無害な道楽なんて存在しないと考えたはうが賢明だ。鍵のかかる部屋鍵のかかる部屋
135処世幸福がつかのまだといふ哲学は、不幸な人間も幸福な人間もどちらも好い気持にさせる力を持つてゐる。スタア殉教
136処世現状維持というのは、つねに醜悪な思想であり、また、現状破壊というのは、つねに飢え渇いた貧しい思想である。生きる意味を問う―私の人生観生きる意味を問う―私の人生観
137処世自分を理解しない人間を寄せつけないのは、芸術家として正しい態度である。
芸術家は政治家ぢやないのだから。
谷崎朝時代の終焉決定版 三島由紀夫全集 33巻
138処世さまざまな自己欺瞞のうちでも、自嘲はもつとも悪質な自己欺瞞である。
それは他人に媚びることである。
他人が私を見てユーモラスだと思ふ場合に、他人の判断に私を売つてはならぬ。
「御人柄」などと云つて世間が喝采する人は、大ていこの種の売淫常習者である。
小説家の休暇小説家の休暇
139処世あらゆる英雄主義を滑稽なものとみなすシニシズムには、必ず肉体的劣等感の影がある。太陽と鉄太陽と鉄・私の遍歴時代
140処世治りたがらない病人などには本当の病人の資格がない。小説家の休暇小説家の休暇
141処世一つの悪い評判といふものは、十の悪い評判とつながつてゐるものなんです。女神女神
142処世告白癖のある友人ほどうるさいものはない。
もてた話、失恋した話を長々ときかせる。
告白するなかれ不道徳教育講座
143処世私の幼時の直感、集団といふものは肉体の原理にちがひないといふ直感は正しかつた。太陽と鉄太陽と鉄・私の遍歴時代
144処世少年期の特長は残酷さです。どんなにセンチメンタルにみえる少年にも、植物的な残酷さがそなはつてゐる。
少女も残酷です。やさしさといふものは、大人のずるさと一緒にしか成長しないものです。
教師を内心バカにすべし不道徳教育講座
145処世社会正義を自ら代表してゐるやうな顔をしながら、それ自体が売名であるところの、貧しい弁護士などといふのは滑稽な代物だつた。暁の寺豊饒の海 第三巻 暁の寺
146処世純粋で美しい者は、そもそも人間の敵なのだといふことを忘れてはいけない。天人五衰豊饒の海 第四巻 天人五衰
147処世論敵同士などといふものは卑小な関係であり、言葉の上の敵味方なんて、女学生の寄宿舎のそねみ合ひと大差がありません。野口武彦氏への公開状決定版 三島由紀夫全集 34巻
148処世微笑は、ノー・コメントであり、「判断停止」「分析停止」の要請である。こんなことは社会生活では当たり前のことで、日本のように個人主義の発達しない社会では、微笑が個人の自由を守ってきたのである。しかもそれは礼儀正しさの要請にも叶つている。アメリカ人の日本神話日本人養成講座
149人生老人はいやでも政治的であることを強いられる。天人五衰豊饒の海 第四巻 天人五衰
150人生法律とは、本来ごく少数者のためのものなのだ。ごく少数の異常な純粋、この世の規矩を外れた熱誠、……それを泥棒や痴情の犯罪と全く同じ同等の《悪》へおとしめようとする機構なのだ。奔馬豊饒の海 第二巻 奔馬
151人生天才というものは源泉の感情だ。そこまで堀り当てた人が天才だ。河上徹太郎との対談「創作批評決定版 三島由紀夫全集 39巻
152人生善意も、無心も、十分人を殺すことのできる刃物である。日曜日決定版 三島由紀夫全集 18巻
153人生生きることが難しいなどといふことは何も自慢になどなりはしないのだ。愛の渇き愛の渇き
154人生人生は夢なれば、妄想はいよいよ美し。戦後語録決定版 三島由紀夫全集 26巻
155人生若さが幸福を求めるなどといふのは衰退である。絹と明察絹と明察
156人生嫉妬こそ生きる力だ。盗賊盗賊
157人生自分の顔と折合いをつけながら、だんだんに年をとってゆくのは賢明な方法である。私の顔決定版 三島由紀夫全集 28巻
158人生死といふ事実は、いつも目の前に突然あらはれた山壁のやうに、あとに残された人たちには思はれる。
その人たちの不安が、できる限り短時日に山壁の頂きを究めてしまはうとその人たちをかり立てる。
罪びと決定版 三島由紀夫全集17巻
159人生何か、極く小さな、どんなありきたりな希望でもよい。それがなくては、人は明日のはうへ生き延びることができない。愛の渇き愛の渇き
160人生われわれの死には、自然死にもあれ戦死にもあれ、個性的なところはひとつもない。しかし死は厳密に個人的な事柄で、誰も自分以外の死をわが身に引受けることはできないのだ。死の分量決定版 三島由紀夫全集 28巻
161人生もし、われわれが生の尊厳をそれほど重んじるならば、どうして死の尊厳をも重んじないわけにいくだらうか。いかなる死も、それを犬死と呼ぶことはできないのである。葉隠入門葉隠入門
162人生ほしいものが手に入らないといふ最大の理由は、それを手に入れたいと望んだからだ。暁の寺豊饒の海 第三巻 暁の寺
163人生どんな不キリョウな犬でも、飼ひ馴れれば、可愛くなる。
幸福といふものは、どうしてこんなに不安なのだらう!
永すぎた春永すぎた春
164人生どんな卑俗な犯罪にも、一種の夢想がつきまとつてゐる。黒蜥蜴若人よ蘇れ・黒蜥蜴 他一篇
165人生ちつぽけな希望に妥協して、この世界が、その希望の形のままに見えて来たらおしまひだ。鏡子の家鏡子の家
166人生この世に一つ幸福があれば必ずそれに対応する不幸が一つある筈だ天人五衰豊饒の海 第四巻 天人五衰
167人生いくら成人式をやつたつて、二十代はまだ人生や人間に対して盲らなのさ。大人がしつかりした判断で決めてやつたはうが、結局当人の倖せになるんだ。音楽音楽
168人生この世のもつとも純粋なよろこびは、他人のよろこびを見ることだ。癩王のテラス癩王のテラス
169人生人間に忘却と、それに伴う過去の美化がなかつたら、人間はどうして生に耐えることができるだろう。私の遍歴時代太陽と鉄・私の遍歴時代
170人生人生のいちばんはじめから、人間はずいぶんいろんなものを諦らめる。
生れて来て何を最初に教はるつて、それは「諦らめる」ことよ。そのうちに大人になつて不幸を幸福だと思ふやうになつたり、何も希まないやうになつてしまふ。
夜の向日葵決定版 三島由紀夫全集 21巻
171人生忘却の早さと、何ごとも重大視しない情感の浅さこそ、人間の最初の老ひの(きざし)だ。私の遍歴時代太陽と鉄・私の遍歴時代
172人生絶望は安息の一種である。禁色禁色
173人生自在な力に誘はれて運命もわが手中にと感じる時、却つて人は運命のけはしい斜面を快い速さで辷りおちつゝあるのである。軽王子と衣通姫殉教
174人生まことに人生はままならないもので、生きてゐる人間は多かれ少なかれ喜劇的である。夭折の資格に生きた男――ジェームス・ディーン現象決定版 三島由紀夫全集 29巻
175人生「武」とは花と散ることであり、「文」とは不朽の花を育てることだ。太陽と鉄太陽と鉄・私の遍歴時代
176人生傷つきやすい人間ほど、複雑な鎖帷子(くさりかたびら)を織るものだ。
そして往々この鎖帷子(くさりかたびら)が自分の肌を傷つけてしまふ。
しかしこんな傷を他人に見せてはならぬ。君が見せようと思ふその瞬間に、他人は君のことを「不敵」と呼んでまさに()めようとしてゐるところかもしれないのだ。
小説家の休暇小説家の休暇
177人生鈍感な人たちは、血が流れなければ狼狽しない。が、血の流れたときは、悲劇は終つてしまつたあとなのである。金閣寺金閣寺
178人生生きるといふことは、運命の見地に立てば、まるきり詐欺にかけられてゐるやうなものだ。暁の寺豊饒の海 第三巻 暁の寺
179人生個性とは何か?
弱味を知り、これを強味に転じる居直りです。
をはりの美学「個性のをはり」行動学入門
180人生芸術といふのは巨大な夕焼です。一時代のすべての佳いものの燔祭(はんさい)です。暁の寺豊饒の海 第三巻 暁の寺
181人生この世には道徳よりもきびしい掟がある暁の寺豊饒の海 第三巻 暁の寺
182人生生きるといふことは、運命の見地に立てば、まるきり詐欺にかけられてゐるやうなものだつた。
そして人間存在とは?人間存在とは不如意だ。
暁の寺豊饒の海 第三巻 暁の寺
183人生自分の人生は暗黒だつた、と宣言することは、人生に対する何か痛切な友情のやうにすら思はれる。暁の寺豊饒の海 第三巻 暁の寺
184人生何かを拒絶することは又、その拒絶のはうへ向つて自分がいくらか譲歩することでもある。
譲歩が自尊心にほんのりとした淋しさを(もた)らすのは当然だらう。
天人五衰豊饒の海 第四巻 天人五衰
185人生生きることは老いることであり、老いることこそ生きることだつた。天人五衰豊饒の海 第四巻 天人五衰
186政治僕は、単細胞のせいかもしれないけれど、革命というものはイデオロギーの問題でもなんでもない、ただ爆弾持って駈け出すことだと思っているんです。維新というのも、ただ日本刀持って駈け出すことだと思っている。石川淳との対談「破裂のために集中する」決定版 三島由紀夫全集 40巻
187政治日本人は絶対、民主主義を守るために死なん。ぼくはアメリカ人にも言うんだけど、「日本人は民主主義のために死なないよ」と前から言っている。今後もそうだろうと思う。福田恆存との対談「文武両道と死の哲学」決定版 三島由紀夫全集 39巻
188政治伝統は野蛮と爛熟の二つを教へる。真の戦争責任は民衆とその愚昧とにある。政治家は民衆の戦争責任を弾劾しない。彼らは、泰西人(たいせいじん)がアジアを怖るゝ如く、民衆をおそれてゐる。この畏怖に我々の伝統的感情の凡てがある。その意味で我々は古来デモクラチックである。日本的非合理の温存のみが、百年後世界文化に貢献するであらう。戦後語録決定版 三島由紀夫全集 26巻
189政治天皇の本質というものが誤られてしまった。だから石原さんみたいな、つまり非常に無垢ではあるけれども、天皇制廃止論者をつくっちゃった。石原慎太郎との対談「守るべきものの価値--われわれは何を選択するか」決定版 三島由紀夫全集 40巻
190政治私は民主主義と暗殺はつきもので、共産主義と粛清はつきものだと思っております。共産主義の粛清のほうが数が多いだけ、始末が悪い。たとえば暗殺が全然なかったら、政治家はどんなに不真面目になるか、殺される心配がなかったら、いくらでも嘘がつける。国家革新の原理文化防衛論
191政治国家がなくなって世界政府ができるなんという夢は、非常に情けない、哀れな夢なんです。国家革新の原理文化防衛論
192政治決定されているが故に僕らの可能性は無限であり、止められているが故に僕らの飛翔は永遠である。わが世代の革命決定版 三島由紀夫全集 26巻
193政治共産社会に階級がないというのは全くの迷信であって、これは巨大なビューロクラシーの社会であります。そしてこの階級制の蟻のごとき社会にならないために我々の社会が戦わなければならんというふうに私は考えるものですが、日本の例をとってみますと、日本にどういうふうに階級があるのか、まずそれを伺いたい。たとえばアメリカなどは民主主義社会とはいいながら、ヨーロッパよりさらに古い、さらに深い階級意識がある国です。というのは、ヨーロッパを真似して成金が階級をつくったのですね。
ですからこれはアングロ・サクソンの文化の伝統ですが、クラブというのがありますね。みんなメンバーシップオンリーのクラブで、下のクラブの人が上のクラブをステイタス・シンボルとして、ステイタス・クライマーが上流のクラブへ入るためにあらゆる算段をするわけです。(中略)
アメリカにはステイタス・シンボルというものが非常にたくさんあります。
国家革新の原理文化防衛論
194政治何を守ればいいんだと。ぼくはね、結局文化だと思うんだ。福田恆存との対談「文武両道と死の哲学」決定版 三島由紀夫全集 39巻
195政治どんな政治体制でも歴史的な基盤があって、徐々に形成されたものであるので、その点では日本の天皇制もまったく同じだと思います。ですから民主主義が悪いとか、天皇制がいいとか悪いとかいう問題じゃなくて、その国その国の歴史的基盤に立った政治体制ができていくということは当然だと思います国家革新の原理文化防衛論
196政治いま筋の通ったことをいえば、みんな右翼といわれる。だいたい、“右”というのは、ヨーロッパのことばでは“正しい”という意味なんだから。(笑)鶴田浩二との対談「刺客と組長 男の盟約」決定版 三島由紀夫全集 40巻
197政治あらゆる忠義によるラジカルな行動を認めなければ、天皇制の本質を逸すると僕は言っているわけです。場合によっては共産革命だって、もし錦旗革命だったら天皇は認めなければならないでしょうね。天皇制の本質なのかもしれませんよ。それをよく知らないで、右翼だとかファッショだといってバカにしきって戦後共産党がやっていたのは共産党がバカだといいたいね。大島渚との対談「ファシストか革命家か」決定版 三島由紀夫全集 39巻
198政治・・・資本主義国家も国家が管理している部分が非常に大きくなっておりますから、実際の国家の時代という点では、国家の管理機能はむしろ史上最高ぐらいまで達しているのではないか。国家革新の原理文化防衛論
199政治しかし日本では、神聖、美、伝統、詩、それらのものは、汚れた敬虔な手で汚されるのではなかつた。
これらを思ふ存分汚し、果ては絞め殺してしまふ人々は、全然敬虔さを欠いた、しかし石鹸でよく洗つた、小ぎれいな手をしてゐたのである。
天人五衰豊饒の海 第四巻 天人五衰
200政治シヴィリアン・コントロールは、天皇の代りに、総理大臣のために死ぬことではない。団蔵・芸道・再軍備日本人養成講座
201政治純然たる日本人といふのは、下層階級か危険人物かどちらかなのだ。
これからの日本では、そのどちらも少なくなるだらう。
日本といふ純粋な毒は薄まつて、世界中のどこの国の人の口にも合ふ嗜好品になつたのだ。
天人五衰豊饒の海 第四巻 天人五衰
202政治劇画や漫画の作者がどんな思想を持たうと自由であるが、啓蒙家や教育者や図式的風刺家になつたら、その時点でもうおしまひである。劇画における若者論日本の名随筆 別巻62 漫画
203政治左翼の奴らは、弾圧すればするほど勢ひを増して来てゐます。日本はやつらの黴菌に蝕まれ、また蝕まれるほど弱い体質に日本をしてしまつたのは、政治家や実業家です。奔馬豊饒の海 第二巻 奔馬

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